広告研究

人を集客する広告コピーの殿堂入り「プール冷えてます」


広告の目的は、商品やサービスを「売る」ことです。

カッコいいとか美しいとか「作品」を生み出すことではありませんよね。名作と呼ばれる広告も、結果的にそうなったのであって、最初から「作品」を残すつもりではなかったと思うんです。

本能に突き動かされる。

このコピーは、かつて東京都に存在した「としまえん」という遊園地の広告コピーです。「集客」という機能を備えつつ、「愛嬌」も振りまく名作コピーですね。

比べるのもおかしいし、失礼な話なのですが、「おいしい生活。」とか「想像力と数百円」のような、上品さとか贅沢さはありません。でも、泥臭さというか、無邪気さというか、愛くるしい雰囲気を纏っています。

こういうみんなから愛されるコピーを見ると、「どうやって考えたんだろう…」と頭を抱えます。集客だけを考え、理詰めで積み上げた先には存在しないコピーだと思うんですよね。そこにセンスや感覚が足されないと「プールが冷えてる」なんて言葉に辿り着けません。

ましてや、このコピーが誕生した当時はバブルの影響もあり、広告は文化という華やかで優雅なイメージが色濃い時代。そんななか集客目的が丸出しで、広告の見た目も不恰好だったのに、ちゃんと世に放たれたことも特筆すべき点です。当時の広告業界の諸先輩方が、表面的な広告の華やかさに踊らされず、機能としての広告の本質を見失わずに愚直に取り組まれていた証拠といえます。

存在していたのに誰も気づいていなかった価値を発見するコピーも大好きなんですが、脳みそに直接ぶち込まれて本能を揺らされるようなコピーも大好きです。

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