広告研究

青春18きっぷの広告コピー「夏休みは、寝坊が一番もったいない。」


どれも懐かしくて、それでいて旅のワクワクを感じられる「青春18きっぷ」の広告。「夏休みは、寝坊が一番もったいない。」は2002年に使われた広告コピーです。

夏休みに限らず、「休日は早起きしなきゃ損だ!」と思っている性格なので、個人的にはとても共感したコピーです。「青春18きっぷ」の鈍行でのんびり旅をすること・料金がお得なことの2つの特徴もしっかり想起できます。「一番もったいない」と最上級の表現で言い切っているのも好きなところです。

「青春18きっぷ」の広告でもう一つ好きなのが1991年のコピーです。

誰も私を知らない。

一人旅の醍醐味を言い当てたコピーですね。豪速球でど真ん中を貫いてくる印象です。これは人間関係のしがらみが多い大人になってくると、より刺さるかもしれません。

また1990年代には「青春18きっぷ」のベネフィットを伝えるために、ボディコピーも添えられています。実はここのテンポ感も非常に良いんです。

旅は、予想できない。忘れられない瞬間は突然やってくる。
列車に揺られ、ホームで待ち、改札口をぬけて歩き出す。その
繰り返しのどこかで、何かが待ってるんだ。
「青春18きっぷ」はJRの普通列車の普通自由席と、宮島
航路に乗れる。きっぷは五枚で一冊になっていて、消費税を含めて
一一,三〇〇円。おとなもこどもも同額。名前は「青春18きっぷ」
だけれど、年齢制限はなく、誰だって使える。一枚は、一日限り
有効。翌日0時を過ぎても、最初に停車する駅までは大丈夫。
ひとりで五日間、五人で一日など、使い方は自由。発売期間と
利用期間が決まっているから、ご注意を。お求めは、お早めに
どうぞ。では、よい旅を。
引用元:1991年「青春18きっぷ」広告

商品説明が網羅されているんですが、堅苦しくなく、やさしく促されるような文体です。なんの努力もしてないのに、商品情報がいつの間にか頭の中に残っているような気がしませんか?さらさらと読めると思います。

少し長めの文章を目にしたとき、瞬間的に「めんどくさっ」って気持ちがよぎるんですが、ボディコピーには制作者の知恵と工夫がいたるところに施されているので、広告に関わる人間としてはていねいに読む姿勢を意識しなきゃいけませんね。