読書

【書評・要約】「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」から学ぶ倫理観。


社会人になって10年近く経ちますが、これまでどれくらいビジネス書を読んできたのか計算してみました。

ざっくりビジネス書だけでも毎月2、3冊は読んでるペースなので、年間にすると24冊。

それが10年なので、最低でも240冊は読んでる計算になります。もっと読まれている方もいると思いますが、塵も積もれば本当に山になるもんですね。

ただ、それらすべてが名著というわけではありませんでした。正直、内容を忘れてしまった本がほとんどです。

マーカーを引いたり、付箋貼ったり、ページを折ったり…。心に残っているのは、ほんの数ページ、ほんの数行です。

でも、この本は違いました。

一冊まるごと、心に残しておきたくなる本だったんです!

それが岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)です。

実際にこのように付箋だらけ。

手帳にも印象に残った岩田さんの言葉を写経してるほどです(笑)。

小澤
小澤
新聞配達のアルバイトから中小企業の管理職に至るまでの10年間、いろんなビジネス書を読んできましたが、この本は必読です!

「岩田さん」ってこんな人。

プログラマーから任天堂の社長へ。

もともとHAL研究所の社長兼プログラマーとして、名作ゲームの制作に携わった岩田さん。その経営手腕を買われ、2000年に任天堂に入社、2002年に代表取締役に就任します。代表的なものでは「ニンテンドーDS」や「Wii」といったハードをプロデュースされました。

会社経営のことだけでなく商品名に関してもアイデアマンで、「Wii」を発売するときには「コントローラー」を「Wiiリモコン」と呼ぶことにこだわったといいます。その理由は、今までゲームに触ったことのない人に向けて間口を広げるためだったそうです。

そして、2015年。業績が上向きになり、新しいハード(後のNintendo Switch)の開発に乗り出す!というときに、岩田さんは亡くなりました。

本書は、ほぼ日刊イトイ新聞に掲載された岩田さんの言葉をかき集めて、一冊にされた本です。岩田さんの考え方がたくさん詰まっていて仕事だけでなく、生き方についても考えさせられます。個人的には岩田さんの倫理観にとても共感しました。

自分は、ほかの人がよろこんでくれるのがうれしくて仕事をしている。それはお客さんかもしれないし、仲間かもしれないし、仕事の発注者かもしれないけど、とにかくわたしはまわりの人がよろこんでくれるのが好きなんです。まわりの人がしあわせそうになるのが自分のエネルギーなんです。
引用元:「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)」

「とにかく人によろこんでもらいたい」もうなによりもそれが一番にある人です。

では、人によろこんでもらうために、どんな思考でどんな行動をされてきたのか?
この記事では、本書の中から岩田さんの人柄が垣間見える言葉を厳選。

・仕事術」
・コミュニケーション術
・クリエイティブ術

大きくこの3つに分けて心に残った言葉をピックアップし、自分の実体験と重なる部分を照らし合わせながら、岩田さんの魅力について語っていこうと思います。

岩田さんの仕事術。

「わたしは困っている人がいたり、そこに問題を抱えている人がいると、その問題を解決したくなるんです。正確にいうと、目の前になにかの問題があったら「自分だったらどうするだろうな」というのを真剣に考えずにはいられない。
引用元:「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)」

この言葉は、岩田さん自身がHAL研究所の社長兼プログラマーであったことが影響しているように思います。いわゆるプレイングマネージャーですね。やっぱり管理職は同僚や部下の課題をマネジメントする立場なので、あらゆることを自分ごと化させやすい環境が整っているのかもしれません。

ただこの姿勢は岩田さん自身の性格も色濃く出ているかと思います。よろこんでほしいとか、助けてあげたいということの前に、自分の課題として捉えている感じが見受けられますよね。そもそも知的好奇心が強いんだと思います。

そんな性格からか、ほぼ日の糸井重里さんはこのようにおっしゃっています。

なにかを提案するときにも、命令したり、号令をかけたりするんじゃなくて「自分も考えてみたんだけど、こういうふうにやってみるのはどうだろう」とかそういう気持ちがいつも混じっている。
引用元:「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)」

ぼくは一時期、リーダーにはカリスマ性みたいなギラギラしたものが必要なんだと思っていました。実際、ぼくの元上司はそこにいるだけでなんとなく場が明るくなり、華やかにさせる空気感を持っていたんです。

だから、自分が管理職に就いた時もそうあるべきだと思い、悩んでいました。

でも、岩田さんのリーダーシップを知って「もしかしたら、ぼくはこっちを目指すべきかも」と指針を定められたんです。

先頭に立つことだけがリーダーではない。横に並んで一緒に走ることもリーダーのひとつの形なんだと気づいてからは変に作ることをやめて、等身大の自分でありながら理想のリーダー像を模索できるようになりました。

岩田さんのコミュニケーション術。

人と人とのコミュニケーションにおいても、うまく伝わらなかったらその人を責めずに、自分の内側に原因を探すんです。
引用元:「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)」

プログラマーらしい考え方ですよね。プログラムと同じでうまく機能していないとしたら、どこかが間違っているという理屈。つまり自分の入力に間違いがあるはずだということですね。もちろん人はプログラムではありませんが、岩田さんの職業柄、このような考え方が根底にあるんだと思います。

通販広告を制作しているぼくにとっても、この点は非常に似ている部分が多く共感しました。

というのも、通販広告は電話を鳴らしてなんぼの世界。対面接客のようにその場でお客さんのテンションを高めるようなアドリブはできません。作った広告がすべて。

なのでレスポンスがなかった場合、広告に原因があったんだと考えるのが基本なんです。社会情勢やその日の天候などの外的要因も考えますが、9割が広告のクリエイティブに原因があるものだとぼくは思っています。

つまり、レスポンスがない=コミュニケーションロスを起こしている原因は自分にある、と考えることが基本にあります。だから、社内や社外とのコミュニケーションでも同じように考えるのは、ごく普通のことなんですよね。

それに、冷静に考えると相手を変えようとするよりも、自分の内側に原因を探して変えてしまう方が圧倒的にコスパがいいんです。歳をとると、妙に頑固になりがちなので気をつけたいところです。

たぶん頑固になっている時って、自分の主張を通すことが目的になっているんですよね。本来の目的である課題を解決することに照準を合わせれば少し冷静になれて、適正なコミュニケーションを探しにいける気がしています。

岩田さんのクリエイティブ術。

新しいものを出すときは、それが世の中にどういうふうに受け入れられるか、非常にドキドキします。いつも、なにを出すときも、そうです。怖いですよ。毎回。だから、あらゆることをやろうとするわけです。
引用元:「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)」

まず、デザインや広告に限らず、あらゆる仕事がクリエイティブだとぼくは思っています。細かいことをいえば上司への報連相も、取引先への謝罪も感謝も、すべてクリエイティブなんです。通底しているのは「どんなふうにすれば伝わるかな?」と考えること。それ自体がクリエイティブなんです。

そのうえでですが、やはり臆病であることは大事だなぁと改めて感じます。ポイントなのは臆病になるだけじゃなく、臆病だからこそ考え抜くという行動につながる点。かといって、大胆さがダメというわけではありません。ダメなのは、考えないことなんです。

仕事をしていると、たまに臆病さを感じない人っていませんか?「え!?そんな言い方せんでも…」とか「たった1案で会議参加すんの!?心臓つよっ!」みたいなことですね。そういう人って、鈍感もしくはその仕事に興味がないことがほとんどだと思うんです。つまり、人の気持ちを考えていない、人に伝える気がないということなんです。だから臆病にすらなれない。

そもそも「伝えたい、共感してもらいたい、理解してもらいたい」という気持ちが強ければ強いほど、臆病になって当然だと思うんです。だって、伝わらなかったら悲しいしツラいですしね。

そこには真剣さがあります。

だから、いろんなことを考える。考え抜く。そして、これだ!と決めたら大胆にやる。これがクリエイティブのあるべき姿だと、改めて感じた言葉でした。

まとめ:とにかく岩田さんの人間力に憧れる!

・とにかく人によろこんもらうことが大好き。
・わからないことを放っておけない、知りたい。
・あらゆる物事を、自分ごととして捉える。
・クリエイティブに対してストイック。
・理智的だけど、心の奥底では燃えているリーダー。

倫理観というと仰々しいんですが、人や物事への向き合い方のヒントがたくさん詰まった本です。

ぼくにとっては「こんなリーダーになりたい!」という方針を定めることができたバイブルもあります。

多くのビジネスマンに、岩田さんの流儀が広まるといいなぁと思っています。ぜひご一読ください!