読書

【書評・要約】生命の最後を描いたエッセイ「生き物の死にざま」

最近、生物について学ぼうと思い、いろんな本を読み漁っています…が。

生物の本ってむずかしい印象がありませんか? 学術的な内容が多くて理解が追いつかず、最初に抱いていた学習意欲が削られていくのです。そして、気がづけば本棚の隅っこでホコリをかぶっているという始末…。ぼくの場合、「勉強するぞ!」という初動の意気込みが強すぎて、ついつい分厚い本を買ってしまうことに原因があるのですが…。

そこでオススメなのが、こちらの本!

ゾウやサケ、セミやミツバチなど生き物の最後を描いた「生き物の死にざま」です!

大きなポイントは、エッセイであること。

例えば、セミの章は以下のような冒頭ではじまります。

 セミの死体が道路に落ちている。
 セミは必ず上を向いて死ぬ。昆虫は硬直すると脚が縮まり関節が曲がる。そのため、地面に体を支えていることができなくなり、ひっくり返ってしまうのだ。
(中略)
 仰向けになりながら、死を待つセミ。彼らはいったい何を思うのだろうか。
 彼らの目に映るものは何だろう。

引用元:「生き物の死にざま」 草思社 稲垣 栄洋(著)

やさしい文体で、内容が頭にスラスラ〜っと流れてきます。専門的な用語もほとんど出てきません。

それでいて生物の生態系を自然と学ぶことができるので、入門書としてぴったり。みんなが知ってそうで知らない豆知識があるので、読んだ後に人に教えたくなっちゃいます。

本書は虫類や魚類、哺乳類など全部で30の生き物を紹介。1つあたり5、6ページなので、スキマ時間に手軽にサクサク読めるんです。

なにより題材がいいですよね。

昆虫や動物に限らず、ヒトにもいつか確実に訪れる「死」。これが描かれるので、好奇心が刺激されて読書意欲が途中で落ちることがありません。

生き物たちの「死にざま」は「生きざま」ともいえるわけで、そこに感情移入せずにはいられなくなります。ぼくはこの本を通して、さらに生き物への興味関心が湧きました。

生き物の生態系に興味がある方もない方も、物語として面白く読めるのでオススメです。