今回レビューする映画はこちら!
これぞエンターテイメントの神髄!!
アカデミー賞7部門受賞作『スティング』!
「カッコいい大人になりたい男性」
「仕事仲間や友達と面白い企画を考えるのが楽しい」
「巧妙な伏線があるどんでん返しが観たい!」
最後までお付き合いよろしくお願いします。
映画『スティング』の概要・あらすじ・キャスト
概要
1973年公開のアメリカ映画で、監督はジョージ・ロイ・ヒル。豪華2大スターのポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが共演した代表的な作品の一つです。詐欺師(ペテン師)を主題とした物語で、いわゆる、どんでん返し映画です。騙し騙されを繰り返し、観客の予想を超えていく展開が続きます。
出演者の演技はもちろん、細部まで練られた脚本や音楽などあらゆる面で評価が高く、第46回アカデミー賞では作品賞を始め、計7部門を受賞した超名作でございます。個人的にも一番、大好きな映画です。
ぼくの周りでは残念ながら、劇中の曲は知っているけど、映画自体は観たことがないという人が多いです(泣)。
巧妙なミスリードが仕掛けられたオシャレで痛快な物語
あらすじ
舞台は1936年、シカゴ近郊のダウンタウン。ジョニー・フッカー(ロバート・レッドフォード)は、詐欺師を生業としながら、金を稼ぐ日々を過ごしていました。ある日、仲間といつものように通行人から金を騙し取ります。ところが、その相手が偶然にも大物ギャング、ロネガンの手下だったことが判明!この盗みをキッカケに日常が崩れていきます。なんとロネガンの刺客に、仲間であり師匠のルーサーが殺害されてしまうのです…。そして、フッカーも命を狙われる身に…。ロネガンへの復讐を誓ったフッカーは、伝説の賭博師ヘンリー・ゴンドーフ(ポール・ニューマン)を頼りに訪ねるのですが…
という非常にシンプルでわかりやすい物語となっております。ですが、あなどってはいけません!巧妙なミスリードが仕掛けられた最高級のエンターテイメントに仕上げられているんです。
ちなみに、どんでん返し系でありがちな「ん?あれ?結局どうなってんの?」…みたいな複雑さは一切ありません!タネ明かしがあった時に「ああ〜!そういうことか!!」とすぐに納得ができて、同時にスカッと気持ち良い爽快感が得られます。まさに「痛快」という言葉がぴったりな映画です!
子供のように夢中になって楽しむ大人はカッコいい!
そんなシンプルだけど、巧妙な仕掛けがあり、楽しさと驚きがある娯楽性の高い映画「スティング」。
エンタメ性の高い作品から「学ぶ」なんて、野暮かもしれませんが、今回ご紹介する要素がまさしく、本作品そのものを表していると感じたので、シェアさせていただきます!
子供のように夢中になって楽しむ大人はカッコいい
それでは、3つのポイントを例に挙げて解説します!!
「復讐」のためではなく、純粋にイカサマを「楽しむ」!
ロネガンへの復讐を協力して欲しいと懇願するフッカーに対してゴンドーフがこんなことを言います。
復讐をする奴は、いつも物足りないというんだ。
よく議論になる話ですが、「殺されたから、殺す」。これ、気持ちは理解できるんですが、結果的には絶対に満たされませんよね。死んだ人は帰ってこないし、殺したところで、その気持ちは完璧に晴れることはありません。
だから、ゴンドーフはやり返し(=殺し)はしないんです。自分たちの持つ武器(=イカサマ)でひと泡吹かせてやろうぜ!という「詐欺師」としての美学を示します。同時に「大物ギャングを騙す超難関な仕事を完璧に成功させてやる!」という、詐欺師としての純粋な「挑戦意欲」も感じ取ることが出来ますね。
ぼくがそう解釈する理由として、物語終盤にフッカーがゴンドーフに
あんたの言う通りだ。確かに物足りない。…でも、それに近い。
と、笑顔で発言するシーンがあります。これは「復讐」という絶対に満たすことが出来ない欲求に限りなく近い喜びと快感を得ることができたことを示しています。
事実、「復讐」が目的だったのに、偽の賭博場を作ったり、仲間を集めたり、ロネガンの仲間として潜り込んだり、フッカーもなんだか楽しそうに計画を進めちゃってるんです。
このイカサマの過程を純粋に楽しんでいる様子が、子供のようでもあり、計画の緻密さは大人としてのクールさがあるので、とてもカッコいいんです。
そして、ベタですがやっぱり師弟関係って良いですね。未熟な弟子に、経験豊富な師匠が「技術」ではなく、人としての「メンタル」を説く。現実の世界でも良いメンターに恵まれると成長が速いものです。
仕事の時は、普段の自分を捨てる。
ロネガンとのポーカー対決シーンでは、ゴンドーフの詐欺師としてのプロフェッショナルな面が垣間見得ます。
実はゴンドーフ、普段は無茶苦茶だらしない性格です。身なりは汚いし、ベットから転げ落ちても床でガーガーいびきをかいて気持ち良さそうに寝れるデリカシーのないおっさんです。
ポーカーの対決前には、弟子であるフッカーにドヤ顔でトランプ捌きを披露するのですが、派手に失敗したり(笑)、おっちょこちょいな面も見せます。ところが、仕事モードになると顔付きが変わります!
ポーカーの対決直前、ロネガンを油断させるために、繊細で抜け目のない準備を淡々としていきます。一見、冷静そうなんですが、僕がグッときたのは、対決の舞台となるロネガンの部屋の前で一度だけ、大きな深呼吸をするんです!
「ゴンドーフ、あんたも緊張してたのかよ!!」
まるで、演者を舞台袖から出て行くのを見守るような感覚です(笑)。
そして、部屋の扉を開けた瞬間、ゴンドーフは泥酔状態のおっさんを演じ始めます!観ていて「かっちょえええ!!」と、なります。その後の場のかき乱し方、ポーカーの流れをコントロールしながら、少しづつロネガンの怒りを高めていく…その言動に観ていてハラハラ、ドキドキさせられます。
ここで関心したのが、詐欺師に関わらずどんな仕事でも「演じること」が大事ということ。これが出来てこそ、プロフェッショナルでありエンターテイナーなんだなと改めて感じました。
師匠キャラお決まりのギャップにはベタにカッコいいと思ってしまいます(笑)。
多くを語らなくても、信頼し合える仲間。
ロネガンを罠にはめるため、偽の賭博場を建て、エキストラを集めるのですが、ここで、殺されたルーサーのかつての仲間エリーが面接にくるシーンが良いんです!1分もないシーンですが、グッときます。
面接担当者がエリーに詐欺師としての実績や特技を質問するんですが、エリーにはそのどれもありません。ですが、
ルーサーの友達だったんだ。
この一言で合格。仲間に加わります。(※ちなみにこの前のシーンでフッカーを追うスナイダー刑事から暴力を受けていたことを面接担当者が目撃していたことも採用理由の一つでもあります)
まぁ確かに、超ベタベタな展開ではあります。でも、よく考えてください。彼らは詐欺集団です。イカサマを生業とする奴らが集まる場所で、「友達だった」という、この言葉が通用していて、信用されている…。僕はすごく潔さを感じるんです。
また、偽の賭博場を運営するためにはかなりの人数を必要とするため、ゴンドーフはかつての仲間たちも招集するんですが、みんな、詳細も聞かずにとりあえず集結します。これだけでゴンドーフの人望がヤバいくらいあることもわかります。
ちなみに、仲間のサインである「人差し指で小鼻を擦る」動作。中二病全開ですが、真似したくなる動きです(笑)。僕は職場で流行らそうとしたくらいです。
他にも、物語終盤でゴンドーフがフッカーの命を救うためにある行動をしていたことが判明するのですが、これに関しては、
お互いにただ、無言で見つめ合うだけ(笑)。
フッカーはお礼を一切言わずに微笑んでるし、ゴンドーフもフッカーの姿を見て微笑むだけです。でも、ここがいいんです。「ありがとう」という言葉でお礼を表現できないことだってあります。
このように、言葉数は少ないにも関わらず、仲間を信頼し合っている空気感が醸し出されていて、そこにも大人のカッコよさを感じます。
まとめ
このように、登場人物の真っすぐで純粋な生き方がとても気持ち良い「スティング」。まさしく、この映画を鑑賞した後の爽快感を表しているのではないでしょうか?
登場人物はおっさんばっかりですが、部活動のような熱さがあり、かつ、大人の豊富な経験と技術で取り組んでいるためクールでオシャレです!
だからこそ、観終わった後にシンプルに「楽しかった!最高!!」の一言で十分に集約できる極上の娯楽映画に仕上がっています。
というわけで…
「子供のように夢中になって楽しむ大人はカッコいい」
ぜひ、一度ご鑑賞ください。
THE・補足
映画「スティング」のようにエンターテイメント性が非常に高い映画って、いちいち感想を述べることが野暮だったりしますし、登場人物たちの「大義」が見えにくいこともあります。でも、じっくりと鑑賞したり、時が経ってから鑑賞すると、やっぱり良質な映画ってエンタメとメッセージがバランスよく混在していて、新しい発見があるんです。ですので、今後もこういった「学び」を軸とした形で映画の紹介を発信していければと思っております。よろしくお願い致します。
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